「空白の100年って、結局なにがわかっているの?」
空白の100年は、ワンピースでいちばん大きな謎のひとつです。そのぶん、ネット上には考察があふれていて、どこまでが作中で語られた事実で、どこからが読者の仮説なのかが見えにくくなっています。
この記事では、その線引きをはっきりさせます。作中で明かされたことを、明かされた巻の順に、文章で流れとしてたどります。仮説は最後に、仮説だとわかる形で分けて扱います。
結論:空白の100年とは
空白の100年とは、今から900年前から800年前までの100年間、その時代の記録が歴史から消されている期間のことです。その時代の出来事は、歴史の本文(ポーネグリフ)と呼ばれる石にだけ残されています。
そして世界政府は、この時代を調べること自体を許していません。作中の事実として言えるのは、大きくいえば「何かがあった100年があり、その記録は石に残され、政府はそれを調べる人を消してきた」ということです。その「何か」の中身は、115巻の時点でも少しずつしか明かされていません。
41巻:オハラで初めてまとまって語られる
「空白の100年」という言葉や歴史の本文は、アラバスタ編からロビンの目的として出てきていました。それが物語の中心に出てきて、まとまって語られるのが、ロビンの過去が描かれるオハラの回想です(41巻)。
オハラは、歴史の本文の研究を続けてきた学者たちの島でした。その研究が政府に知られ、島にはバスターコールがかけられます(第395話「オハラVS世界政府」)。この回で、オハラの学者の長であるクローバー博士が、五老星に向かって自分の研究の結論を語ります。空白の100年の時代にはある巨大な王国が存在したのではないか、そしてその王国を倒した側の連合が、のちの世界政府をつくったのではないか、という内容です。博士はその王国の名前を口にしようとしたところで撃たれ、名前は語られないまま終わります。
ここで押さえておきたいのは、クローバー博士の話は、作中でも博士自身の研究から導いた説として語られている、という点です。作中の人物が語った事実ではあっても、それが真相だと作中で確定したわけではありません。ただ、政府が博士の言葉を最後まで言わせなかったこと、島ごと研究を消したことは、この話が政府にとって触れられたくないものだと示しています。
オハラでただ一人生き延びたロビンには、わずか8歳で7900万ベリーの懸賞金がかけられます(第398話「宣戦布告」)。表向きの理由は軍艦を沈めたことでしたが、本当の理由は歴史の本文を読める力でした。ロビンが一味にいる意味は、ここから始まっています。
66巻:魚人島で見つかった「謝罪文」
次に大きな手がかりが出るのは、魚人島編の終盤です。
魚人島にあった歴史の本文には、空白の100年の時代の人物ジョイボーイが、人魚姫に宛てた謝罪文が刻まれていたことが明かされます(66巻 第649話)。ジョイボーイは、ある約束を果たせなかったことを詫びていました。
これで、空白の100年は「どこかの国が消えた」という抽象的な話から、名前を持った人物がいて、果たせなかった約束がある時代へと一歩近づきます。歴史の本文が、ただの記録ではなく、誰かが誰かに宛てた言葉を残したものでもある、ということがわかる場面です。
ゾウ・ワノ国:歴史の本文をつくった一族
では、歴史の本文はそもそも誰がつくったのか。その答えの一部は、ゾウとワノ国の物語の中で語られます。歴史の本文を刻んだのは、ワノ国の光月家の祖先でした(82巻 第818話、ゾウでネコマムシが明かします)。
ここで、空白の100年の記録と、ワノ国という鎖国の国が一本の線でつながります。何百年も前の石が、なぜ世界中の島に、壊れない形で残っているのか。その作り手の側から、空白の100年に光が当たり始めます。
96巻:ロジャーたちは「すべて」を知っていた
ワノ国編の中盤では、光月おでんとロジャー海賊団の航海が回想で描かれます。ロジャーたちは最後の島にたどり着き、空白の100年をふくむ世界の歴史を知ります(96巻 第967話)。
ところがロジャーは、知ったことを世界に広めることはしませんでした。自分たちがたどり着くのは早すぎたという趣旨の言葉を、ロジャーは一味の解散が描かれる回の回想の中で残しています(96巻 第968話)。空白の100年の答えを手にした人物がいた一方で、その答えを使う時期はまだ来ていなかった、というのが、この回で示されたことです。
110巻:ベガパンクの放送で語られたこと
空白の100年について、作中でもっとも多くの情報が一度に語られたのが、エッグヘッド編のベガパンクの放送です。単行本では110巻(第1111話〜第1121話を収録)で放送が始まります。
ベガパンクはまず、世界がいずれ海に沈むことを告げます(第1113話)。続けて、900年前から800年前の100年間に何があったのかを、オハラの研究をもとに語り始めます(第1114話「イカロスの翼」)。
同じ回でベガパンクは、900年前に高度な文明を持つ王国に生まれ、太陽の神ニカのように伸び縮みする体で戦った男がいたこと、その名がジョイボーイで、この海で初めて海賊と呼ばれた男だとされていることを語ります。66巻で謝罪文の送り主として名前だけが出ていたジョイボーイに、ここで姿と立場が与えられます。
ベガパンクはさらに、空白の100年に何があったかを知る者としてロジャー海賊団の名を挙げ、彼らがなぜその知識を伝えなかったのかという疑問も口にします(第1116話「葛藤」)。96巻でロジャーが残した言葉と、ここでつながる形です。
41巻でクローバー博士が語った「巨大な王国」の説と、110巻でベガパンクが語った「高度な文明を持つ王国」。700話以上を隔てて、話が同じ方向につながっています。ベガパンクの話はオハラの研究をもとにしたものとして語られ、五老星も放送の前から、クローバー博士の話の続きを語られることを警戒していました(第1113話)。
ここからは仮説:作中でまだ確定していないこと
ここまでが、115巻の時点で作中に描かれた事実です。ここから先は、作中では確定していないことです。
たとえば、クローバー博士が名前を言えなかった王国の名前、ジョイボーイが果たせなかった約束の中身、その王国と連合のあいだで何が起きたのか、なぜ政府がここまで記録を消そうとするのか。こうした点は、作中の人物が推し量ったり、ほのめかしたりする場面はあっても、答えとしては示されていません。
ネット上では、この空白を埋める考察が多く書かれています。考察は、作品を読み返す楽しみの一つです。ただ、考察を読むときは、それがどの巻・どの話の、どの描写を根拠にしているかを確かめると、事実と推測が混ざらずに済みます。この記事では、考察の中身そのものには踏み込みません。新しい巻で事実が明かされたら、確認してから追記します。
よくある質問
Q. 空白の100年とはいつのこと?
A. 今から900年前から800年前までの100年間です(110巻 第1114話でベガパンクが説明しています)。
Q. 空白の100年が最初にまとまって語られるのは何巻?
A. 41巻のオハラの回想です。第395話で、クローバー博士が「巨大な王国」の説を語ります。言葉そのものは、それより前のアラバスタ編から出てきます。
Q. 空白の100年の記録はどこに残っている?
A. 歴史の本文(ポーネグリフ)にだけ残っています。オハラの学者たちは、その研究を理由に島ごと消されました(41巻)。
Q. ジョイボーイとは誰?
A. 空白の100年の時代の人物です。魚人島の歴史の本文に人魚姫への謝罪文を残し(66巻 第649話)、ベガパンクの放送では、この海で初めて海賊と呼ばれた男だとされています(110巻 第1114話)。
Q. 空白の100年の真相は明かされた?
A. 115巻の時点では、すべては明かされていません。この記事では、明かされた事実と確定していない仮説を分けて整理しています。
どこまで読み込んでいるか、試してみる
空白の100年の手がかりは、オハラ、魚人島、ワノ国、エッグヘッドと、長い連載のあちこちに散らばっています。各編の細部をどれだけ覚えているか、上級クイズで試してみてください。
38年前の事件で世界政府の隠してきたものに近づく「ゴッドバレー事件とは?何巻何話で明かされたか」もあわせてどうぞ。
まとめ
- 空白の100年は、900年前から800年前までの記録が消された100年間。記録は歴史の本文にだけ残る
- 41巻:オハラでクローバー博士が「巨大な王国」の説を語り、島にバスターコールがかけられる(第395話)
- 66巻:魚人島の歴史の本文に、ジョイボーイから人魚姫への謝罪文(第649話)
- 96巻:最後の島で歴史を知ったロジャーが、早すぎたという趣旨の言葉を残す(第968話)
- 110巻:ベガパンクの放送で、900〜800年前の歴史とジョイボーイの姿が語られる(第1113〜1116話)
- 王国の名前、約束の中身、政府が隠す理由は、115巻の時点でまだ確定していない