コラソンが、宝箱に隠したローに最後の思いを伝える場面は、第77巻 第767話「コラさん」です。アニメでは第706話にあたります。ドレスローザ編の中で語られる、ローの13年前の記憶の締めくくりにあたる回です。この記事はコラソンの死に触れるので、未読の方はご注意ください。
どんな場面か
ドンキホーテ・ファミリーの幹部コラソンは、兄ドフラミンゴに隠れて、病に侵された少年ローを救おうとしていました。オペオペの実を手に入れたコラソンは、ローを宝箱に隠し、音を消す自分の能力をかけて逃がそうとします。ファミリーの追っ手が迫る中、コラソンは、兄は自分を殺しはしないとローを安心させ、箱の中のローに笑顔で思いを伝えます。そのあとコラソンは、兄ドフラミンゴに撃たれます。コラソンが息絶えるまで能力は解けず、ローは声を出せないまま、すべてを聞いていました。
考察
嘘の中で生きてきた人
作中の事実として、コラソンはファミリーの中で、話すことのできない人物としてふるまっていました。そして本当の身分は、海軍から兄の組織に送り込まれた海兵でした。彼はファミリーの中で、自分の立場も声も偽って生きていたことになります。
ここからはヨミコミの読みです。そんな人が最後に口にしたのは、飾りのない短い言葉でした。長く嘘を重ねてきた人だからこそ、本当のことは短くしか言えない。あるいは、短い一言にすべてを込めるしかなかった。この場面の言葉がこれほど残るのは、その背景にある長い偽りの時間があるからだと考えます。
声を消す力が、最後に守ったもの
コラソンの能力は、周りの音を消すものです。ファミリーの中では、正体を隠し、行動を悟られないために使われてきた力でした。
事実として、この場面ではその力が、ローの声と存在を隠すために使われています。そして能力は、コラソンが息絶えるまで解けませんでした。ヨミコミの読みでは、偽るための力が、最後には一人の少年を守るための力になった。自分が撃たれるその瞬間まで、力を解かずにいた。その描き方が、コラソンの覚悟をどんな言葉よりもはっきり示しています。
一方で、ローは箱の中で、声を上げることもできずにすべてを聞いていました。守るための力が、同時に、何もできない時間をローに強いてもいた。この痛みも、場面の重さの一部です。
ドジな男が、最後だけは失敗しなかった
コラソンは、たびたび転んだり、自分の体に火をつけたりする、失敗の多い人物として描かれてきました。ローの過去の回想の中でも、そうした場面が何度も出てきます。
ヨミコミは、この性格づけが最後の場面のために効いていると読みます。いつも何かをしくじってきた男が、いちばん大事な場面では、最後まで失敗しなかった。自分の命と引き換えに、ローを逃がしきった。笑ってしまうような普段の姿を読者が知っているからこそ、最後の笑顔と一言が深く刺さります。
ローの行動の出発点として
事実として、ローはこの出来事から13年後、ドレスローザでドフラミンゴと向き合うことになります。コラソンが託したものが、ローの行動の出発点になっていることは、ドレスローザ編を通して描かれます。
ヨミコミの読みでは、この回はローというキャラクターの見え方を大きく変える回です。冷静で計算高く見えた人物が、何を背負ってここまで来たのか。その答えが、声の出せない箱の中で聞いた言葉だった。ローの過去を知ってから、それ以前の彼の場面を読み返すと、また違った意味が見えてきます。
今の自分に置き換えると
身近な人に、本当の気持ちを言葉で伝えるのは簡単ではありません。照れや、立場や、言い出すきっかけのなさで、伝えないまま時間が過ぎていくこともあります。
コラソンの最後の言葉から読み取れるのは、本当に伝えたいことは、長い言葉でなくてもよいということです。短い一言でも、それが本心であれば、受け取った人の中に長く残ることがあります。
また、この場面は受け取る側の視点からも読めます。ローがそうだったように、言葉を受け取ったときには何も返せないこともあります。それでも受け取ったものは、その人の中で時間をかけて意味を持ちはじめます。返せなかった思いを抱えている人にとっても、読み返す意味のある場面です。
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