エニエス・ロビーで、仲間を拒もうとしていたロビンが初めて本心を叫び、一味が世界政府に宣戦布告する場面は、第41巻 第398話「宣戦布告」です。アニメでは第278話にあたります。エニエス・ロビー編の転換点となる回です。
どんな場面か
ロビンは、仲間たちの身の安全と引き換えに、自分から政府の諜報機関に連行される道を選んでいました。司法の島エニエス・ロビーまで追ってきた一味に対しても、ロビンは助けは要らない、もう放っておいてほしいと拒み続けます。自分が生きていること自体が仲間を危険にさらすと考えていたからです。離れた建物の上に、ルフィたちが並びます。ルフィの指示で世界政府の旗が撃ち抜かれ、そのうえでルフィは生きたいと言えと叫びます。ロビンは涙を流しながら初めて本心を叫びます。
考察
ロビンが生きることを望めなかった理由
作中の事実として、この回とその直前の数話で、ロビンの過去が語られています。故郷オハラは、歴史を研究していたことを理由に世界政府の攻撃で焼き払われ、ロビンはわずか8歳で懸賞金をかけられました。それから20年、ロビンは身を寄せた先で裏切られ、自分も誰かを裏切りながら生き延びてきました。
ここからはヨミコミの読みです。ロビンにとって、生きることは、周りの誰かを巻き込むことと同じ意味でした。自分がいるだけで、そばにいる人が狙われる。だからロビンは、生きたいという願いを持つことそのものを、自分に禁じていたのだと考えます。一味を拒んだのは、仲間を大切に思っていなかったからではなく、大切に思ったからこそ、自分が消えることで守ろうとした。拒絶の言葉は、ロビンなりの愛情の表し方でした。
ルフィが求めたのは、事情ではなく本心だった
事実として、ルフィはロビンに、理由や事情の説明を求めていません。求めたのは、ロビン自身が生きたいかどうかという一点でした。
ヨミコミは、ここにルフィの一貫した姿勢を見ます。アーロンパーク編でナミが助けを求めたときも、ルフィは本人の口から言葉が出るのを待ってから動きました。助ける側が勝手に助けるのではなく、本人の意思を先に聞く。ロビンの場合、その意思はあまりに深く閉じ込められていたため、ルフィは叫んで引き出す必要がありました。本心を言っていい、言ってくれれば全員で動く。ルフィの呼びかけは、ロビンが20年間持てなかった許可を与えるものだったのでしょう。
旗を撃ち抜くことの重さ
回のタイトルになっている宣戦布告は、一味が世界政府の旗を撃ち抜く場面を指しています。事実として、この行為は、世界そのものを敵に回すことを意味していました。そして旗が撃ち抜かれたのは、ロビンが本心を叫ぶ前でした。
ヨミコミの読みでは、この順番が大切です。ロビンが本心を言えなかったのは、自分のせいで仲間が世界を敵に回すことを恐れていたからでした。一味は先に旗を撃ち抜き、その恐れの理由を自分たちの手で引き受けてみせた。そのうえで、ルフィはロビンに本心を求めています。世界を敵に回すことはもう済ませた、あとはお前の声だけだ、という順番です。ロビンが20年間恐れてきた、自分のせいで周りが危険にさらされるという状況を、一味は自分たちで選び取って引き受けたのです。
オハラで聞いた言葉とのつながり
ロビンの過去の回想には、いつか必ず仲間に出会えるという趣旨の言葉を、幼いロビンにかけた人物が登場します。ヨミコミは、この回をその言葉が20年越しに現実になった場面として読みます。
今の自分に置き換えると
自分がいると周りに迷惑をかける。そう感じて、助けを求めることも、自分の望みを口にすることもできなくなる時期は、誰にでも起こりえます。
この場面は、本心を言葉にすることが、周りの人が動くための合図になりうることを描いています。ロビンのように、拒むことでしか大切な人を守れないと思い込んでいるときこそ、その思い込みを誰かに話してみる意味があります。消えてしまいたい気持ちや、生きていてはいけないと感じる気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、信頼できる人や、厚生労働省まもろうよ こころで紹介されている相談窓口に話してみてください。
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