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ドラゴンボール名場面ノート

命令より自分の良心を選んだ人造人間

この場面は第6巻 其之63「人造人間8号」孫悟空少年編(レッドリボン軍・マッスルタワー)/人造人間8号(ハッチャン)

更新:2026-09-30運営:ヨミコミ

ネタバレ注意:レッドリボン軍編のマッスルタワーでの出来事と、人造人間8号と悟空の関係の始まりに触れます。物語の大きな結末には触れません。

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人造人間8号が悟空を倒せという命令を拒み、爆弾で脅されても従わない場面は、第6巻 其之63「人造人間8号」です。レッドリボン軍との戦いのなかで、敵として登場したはずの8号が、悟空の友だちになるきっかけの回です。

どんな場面か

レッドリボン軍の拠点マッスルタワーを登っていく悟空の前に、人造人間8号が現れます。軍のムラサキ曹長は8号に、悟空を倒せと命じます。しかし8号は、悪いことはできないと言って拒みます。曹長は8号の体内に仕込まれた爆弾で脅しますが、それでも8号は従いません。そこで悟空が起爆装置を叩き壊し、8号を守ります。ここから二人の友情が始まります。

考察

作られた目的より、自分の気持ちを選んだ

作中で描かれている事実は、はっきりしています。8号は軍のために作られた人造人間で、命令する側は爆弾という、命そのものを握る手段まで持っていました。それでも8号は、悪いことはしたくないという気持ちを曲げていません。

ここからはヨミコミの読みです。この場面の重さは、8号が自由な立場で正しさを選んだのではない、という点にあります。体の中に爆弾がある以上、断ることは自分の命を賭けることと同じです。それでも首を縦に振らなかった。8号の拒否は、正義感の強い人物の格好いい決めゴマというより、怖さを抱えたまま、それでも譲れない一線を守った姿として描かれていると読めます。

作られた目的と、自分がどうありたいか。その二つが食い違ったとき、8号は後者を選びました。レッドリボン軍編の中で、この選択はとても静かですが、軍という大きな組織の論理に、一人の心が勝った瞬間でもあります。

友情は、相手の選択を守るところから始まった

もう一つ注目したいのは、悟空が何をしたかです。悟空は8号を説得したわけでも、仲間になれと誘ったわけでもありません。8号が自分で選んだ拒否を、起爆装置を壊すことで守りました。

ヨミコミは、二人の友情の出発点がここにあることに意味があると考えます。8号が勇気を出して選んだことを、悟空が行動で支えた。どちらかが一方的に助けたのではなく、8号の選択と悟空の行動が合わさって、はじめて8号は自由になれた。友情の始まりとして、とても対等な形です。

悟空は同じ其之63のうちに、8号をハッチャンと呼び始めます。敵の兵器としての番号ではなく、呼び名で呼ぶ。この呼び方の変化も、8号が命令のための存在から、一人の友だちへ変わったことを表しているように見えます。

のちの人造人間たちへの前振りとして

ドラゴンボールには、このあとも人造人間が何人も登場します。なかでも人造人間・セル編の16号は、戦うために作られながら、自然や動物を好み、戦いを嫌う性質を持っていました。

これは作中で直接結びつけられているわけではなく、あくまでヨミコミの読みですが、作られた目的と本人の心が食い違う人造人間という形は、8号の時点ですでに描かれていたと言えます。生まれ方で生き方は決まらない。その考え方は、少年編のこの小さな場面から、物語の後半まで続いているように見えます。

さらに魔人ブウ編の終盤、地球の人々が元気玉に手を挙げる場面では、8号の姿も描かれます(其之515)。少年編で悟空に守られた一人が、長い時間を経て、今度は悟空を支える側に回っている。友情が一方通行ではなかったことが、物語の終わり近くで示されています。

今の自分に置き換えると

仕事や学校、地域の集まりなど、どこかに属していると、自分の考えと求められることが食い違う場面があります。はっきり悪いこととまでは言えなくても、どうしても納得できないことを頼まれる。断れば立場が悪くなるかもしれない。そんなとき、8号の姿は一つの見本になります。

ただ、この場面が示しているのは、何でも拒めばいいということではありません。8号が守ったのは、悪いことはしないという、ごく基本的な一線でした。自分にとって譲れない一線はどこなのかを、普段から言葉にしておくと、迷ったときに判断しやすくなります。

そしてもう一つ、周りの誰かがそうした一線を守ろうとしているとき、悟空のように、その選択を支える側に回ることもできます。一人で抱えずに、信頼できる人に相談してみる。あるいは誰かの相談に乗る。8号と悟空の関係は、そのどちらの立場からも読むことができます。

あわせて読みたい

戦うために作られながら自然を愛した人造人間16号の場面(其之407)とあわせて読むと、作られた目的と本人の心という主題が、物語の中でどう続いていったかが見えてきます。

覚悟・決断友情・仲間仕事で悩んだとき決断したいとき

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出典:鳥山明『DRAGON BALL』(集英社 ジャンプ・コミックス 全42巻)。本文は当サイトが独自に作成した考察です。画像・漫画のコマは使っていません。